“心筋症”というのは心臓の機能障害を伴う心筋(心臓の筋肉)の疾患で、極端に厚くなったり、薄くなったり、硬くなったりして心臓の機能が低下し、本来のポンプ機能を果たすことができなくなってしまうものです。厳密に言えば全身疾患との関連がはっきりしているのを“特定心筋症”、原因不明なのを“特発性心筋症”と分類されていますが、通常“心筋症”と言う場合には後者の“特発性心筋症”のことを指しているようです。
ところで、“心筋症”には“肥大型”と“拡張型”の2つのタイプがあります。まず、“肥大型”は心筋がぶ厚くなって失神や、息切れ、動悸、不整脈などの症状が表れるもので、原因がはっきりしていないために、診断では高血圧、大動脈弁疾患、先天性心疾患、甲状腺機能亢進症など肥大を起こす原因を1つずつチェックして“白”と判断したものを除外し、少しずつ範囲を狭めながら最もあやしいと思われるものを特定していくようです。
また特に左心室に強い肥大が見られますが内腔の状態は正常で、先天的な肥大の場合は両親から受け継いだ“遺伝子欠損”が原因に、また後天的な肥大の場合には“良性の下垂体腫瘍”に伴って成長ホルモンが過剰分泌される病気が起こっていることもよくあると言われます。
一方“拡張型”は原因不明の心筋障害のために内腔が拡大して、心筋は逆に外壁部分が薄くなっている状態で、心室の筋肉の収縮が非常にわるくなるために、肥大型に比べると予後の悪いやっかいなタイプで、原因は免疫異常やウィルス、遺伝などではないかと考えられています。
“心筋症”と混同してしまいそうなものに“心筋炎”というのがありますが、これは髄膜炎や筋炎を起こすことで有名な“コクサッキーウィルス”や“インフルエンザウィルス”による感染症にかかった場合によく起こるもので、ウィルスが心筋にも炎症を起こして細胞を破壊しようとするために心筋の収縮機能が低下してしまいます。
症状は発熱、咳、頭痛、咽頭炎、全身倦怠といった普通の風邪に似ているのですが、その後に動悸や胸痛、不整脈、息切れなどの症状が加わり、「普通の風邪にしては……」と感じさせるような兆候が表れるのですぐに医師の診断を受ける必要があります。重症になることは滅多にありませんが、万一重症の心筋炎になってしまったら命が危険にさらされることもあるので油断は禁物です。
心筋症・心筋炎